「あなたの番です」のHuluオリジナルストーリー「扉の向こう」。
103号室田宮さんのエピソードです。
今回は奥さんの君子さん目線でお話が進みます。
「清く、正しく、大真面目」というのが旦那さんである田宮淳一郎さんだそうです。
銀行員時代は、仕事から帰っても姿勢も崩さずピンと張り詰めた空気の人だったと。
ある日の食卓で、君子さんが新入社員の様子を聞きます。
ここで甲野貴文さんの話が出ます。
「昨日よりも今日の方が注意する回数が多くなっている」と。
最近の若い子は不満があると上司を訴えることもあるから、気を付けてくださいね。褒めて伸ばすやり方もいいんじゃない?」と言う君子さん。
君子さんの心配は的中し、パワハラで訴えられて早期退職に追い込まれてしまった田宮さん。
仕事を奪われた仕事人間がどうなってしまうのか、君子さんは不安でもありましたが、二人で楽しく第二の人生が過ごせるかもしれないという期待もありました。
が、そんな期待は裏切られ田宮さんは相変わらず真面目人間です。
君子さんは何とか状況を変えようと、一緒に体操をしようと誘います。
カルチャースクールで高齢者向けの体操の先生をやっていて、新しい体操を考えたのできちんと伝わるか試したい、と工夫して誘っていました。
しかし真面目な田宮さん、一つ一つの動きについて細かく説明を要求するうえ、長年凝り固まった体は、そう簡単にはほぐれなかったみたいです。
そんな田宮さんがある日をきっかけに様子が変わったと、君子さんは感じました。
仕事以外に熱中できるものを見つけたと。
ある日、君子さんが帰宅すると、田宮さんは居酒屋店員になりきっています。
「田宮淳一郎に戻ってください。メソッド演技というのは身を滅ぼすこともある諸刃の剣です。素人が軽率に手を出していいものではありません!」と君子さん。
さらに、演技指導やお手本まで見せています。演劇経験者なのでしょうか?
近所のお店の人を参考に演技をしてみたという君子さんに、「勉強のためにそのお店に行きたい、何パターンか見たいからハシゴもしよう!」と提案する田宮さん。
なんだか二人とも楽しそうです。
君子さんもこの時はワクワクしていたようですが、望んでいなかった変化が二人を壊していきました。
劇団のために大金をはたいて稽古場を買うと言い出したり、若い子に夢中になったり。
田宮さんの性格から一線は超えていないとは思っていますが、浮気ですら大真面目にする田宮さんに君子さんは寂しそうです。
ただ、そんな田宮さんが本当の意味で決定的に変わってしまったと感じたのは、この時ではないそうです。
田宮さんが毎日引きこもっていた時。
今でも頭からこびりついて離れない話があるそうです。
田宮さんは自分のことをマトリョーシカのような人間だと思っていたと。
開けても開けても同じ人間が出てくると。
60年近く生きてきて、最近、最後の1個のマトリョーシカにたどり着けそうな気がしている。
ただ、まるで違うものが出てきたとき、それは私なのか?いや、「それが、」私なのか。
田宮さんが何を見つけたのか、君子さんはわからないと言っています。
マトリョーシカの最後の1個、謎の黒い物体にたどり着いた田宮さんが不気味な顔でそれを食べるシーンでこの回は終了です。
引用元:Hulu